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調布の陥没事故から思う事・・・

~街の未来を提案する~

調布の陥没事故から思う事・・・

今回は、3月19日に東京外環トンネル施工検討委員会で結論的な内容になっていたのでその内容から思う事をお話ししたいと思います。

但し、私は委員会の有識者の様な知見と見識は無いのであくまで個人的な感想と考えである事を最初に言っておきます。

今回の結論では、『陥没・空洞箇所周辺は、①掘削断面は細粒分が少なく、均等係数が小さいため、自立性が乏しく、礫が卓越して介在、②掘削断面上部は単一の砂層、③表層部は他の区間と比較して薄い地盤、の全てに該当する、東京外環全線の中で特殊な地盤条件である。』ために発生した可能性が大きいようです。

この結論より、多く聞くのは「地盤調査が不足している」などの意見もあります。

確かにこの路線延長から考えると、調査数は少ないかもしれません。

しかし、『できなかった』という見方もあるのではないか?なぜなら、地下工事の地盤調査をする際には、ジャストポイントでなければ全く意味がない・・・本当に数m離れただけで全く違う結果になる事もあります。
これを言い出したら、1m間隔で調査しない限り地下工事はできない事になります。

と、こんなところから話し出すと話が長くなるのでちょっとさておき、本当に原因は上記の3点で対策として
 ・追加の地盤調査
 ・添加剤配合の再確認
 ・チャンバー内土圧のモニタリングに応じた対応
 ・排土管理値の見直し
、、、はっ?と思ってしまいます。

何故か???

今回、施工データが公表されています。
 計測項目は
 1リングごとの単位体積重量、チャンバー内圧力(6か所)、掘進速度、推進力、カッタートルク、排土量、排土率、添加剤注入率、裏込め注入率、裏込め圧力、日々の土量、カッタービット等のひづみ値、テールボイドのゆるみ量
です。陥没に係わる事なので掘進精度に関するものはないですが、こんなにも計測しています。項目だけなら大した事なさそうですが、土圧計測だけでも6か所、ジャッキ圧力だと約90ヵ所・・・と1項目でも計測箇所は複数あるのでものすごい量なんです。これにはどれだけの機器が必要でどれだけの配線になりどれだけの制御盤になるか・・・16mという巨大なシールドですが機内は駆動装置、油圧ジャッキ、計測機器であふれています。
本当にどれがどれだかわからないです。
各セクションごとに管理者がいて、油圧チーム、電気チーム、計器チーム・・・などと分かれて日々点検計測しているのでしょう。

これだけの事をしているのにも関わらず再確認とか規格値をシビアにするとかなんか違わないかな?と思ってしまいます。

そして結論的として「施工に問題あり」・・・確かに結果からすれば・・・問題ありかと・・・

でも、これだけのことをやりながら900m3、200m3、90m3の充填を行わなければいけないほどの”施工ミス”にはつながるとは思えません。

充填総量1190m3!

この工事における1リング(1.6m)当たりの排土量(添加材+掘削土量)は約300~320m3あります。という事は3リング分の排土が余分に出てきている。(厳密にいえば違いますがざっくりと)

これなら、こんなセンシングをしていなくてもわかります。体積管理(タンク入った量の計測する方法)でも1割以上の増減があれば、対策を講じる検討がされます。どんな小さな工事でも。なぜなら排土量の管理は地下工事(推進・シールド工事)においては最重要課題、最重点管理項目だからです。

施工データをみても平均排土率は97%、区間で多いとき少ないときありますがその区間には150%以上の裏込めを注入しているので問題はないはず。(裏込めは掘削でできた隙間にセメントを充填する作業)

施工の管理的には間違っていないと思います。

では本当は何だったのでしょう?

私は、「気泡シールド工法」であったことに着目しています。(個人的に気泡の使用には慎重になる必要有と思う)

泥土圧シールドは「泥状を添加し土と混ぜて排出する」のに対し、一方の気泡シールドは「泡(シェービングクリーム)を添加して土と混ぜて排出する」 (超ザックリ)

確かに、気泡シールドではベアリング効果によるトルク、推進力の軽減さらに消泡するので産廃量が激減する。といった非常に有効な作用もあります。しかし、消泡するという事からもわかるように”漏気”の問題が発生します。

特に今回の様に大断面でかなりの切羽圧(前面圧)をかけるのであれば間違いなく漏気はするはずだと思います。しかもそこに地下水の流れが加われば・・・結構怖い影響が出そうだなと思っています。

シールド工法における切羽の安定(もともとの地質へ対抗するために注入で均衡を図る)には理論的に成り立つこと施工実験で成果を出すことはもちろん必要ですが、単体(物体、物質)実験で成り立っている必要があると考えています。
私は推進工事の経験のほうが長いのでシールドの様に恵まれていない環境でも同等の事をしないといけない事もありいろいろな実験や他社の事例、実験結果をもとに管理していました。その中でも特に注意していたのが泥土圧系の工事の場合、材料単体(配合はしていますが)が安定するものであるかを確認するようにしていました。

こんな感じの実験です。その実験結果は↓↓↓

これを現場の土で確認します。写真からすると一番右の比重1.14の配合をベースにあとはその時の性状に応じてブランドしていく方法をとっていました。

では、気泡でこのような事ができるでしょうか?一時的には均衡を保つかもしれません添加された材料は地山に浸透していきますので一定時間の経過観察が必要になります。写真の物であれば1日たっても変化ありません。

なぜ、一定時間の経過観察が必要か?それは施工では”注入する”からです。注入というのは注入圧力が発生します。外的な要因です。
浸透に関する実験結果があります。↓↓↓

この図を見てもわかるように20分程度でかなり浸透していくんです。この時はちょっと多めに圧力をかけていますが・・・

安定しているものでもここまで浸透するので、まして漏気が懸念されるような気泡ではなおさらかなと思わざるを得ません。(たぶんこの路線のどこかで漏気しているのでは?)

検証結果からの対策で、添加剤に気泡に代わりベントナイトの使用も視野に入れるとなっています。
施工過程の報告をみても、閉塞解除の為、防止のために交代時や休日前にはベントナイト溶液でチャンバー内及びスクリュー内を置き換えると引継ぎ時も作業再開時もスムーズな掘進が行えています。

ただ、カッタートルクと推力の上昇は見られます。しかし、それは施工法で十分にカバーできる程度。

さらに気泡が嫌な(あっ、いってしまった)理由として、エアを使っていることです。エアを使う事は比較的よくあります。排土の補助的な役割で効率が悪いときには少量のエアを注入し流れを改善する

しかし、エアは使い方を間違えると一瞬で地上に影響を与えてしまいます。土被りで10~20mであれば0.5秒もかからないくらいに走るのが早い。
『諸刃の剣』なのです。

通常はエア単体で注入していくので調整をすることができますが気泡シールドでは添加剤に混ざっている状態で切羽圧は所定までかけていかなければならない、要は調整が効かないのが非常にネックではないかと思っています。

といろいろ不具合的な事も話しましたが、すべて想像です。地下の状態は誰も見えないので正解を知っている人はいません。ですから、今回の原因を簡単に『施工的なミス』としてしまうとこれからの地下工事の発展を妨げてしまう。気泡の検証を確実に行う。地下のモニタリングを徹底的にやり真実に近い事実を突き止める必要があるかと思っています。

こんな状態でシールド機をAIそ使って自動運転、、、いやいや、、、まったくそのレベルではないです。シミュレーションまでが限界でしょう。

何故なら、現状1㎜先の正確な情報を誰も知れていないからです。

今回の陥没で関係者や同業者内では「なんで?」と皆が思っています。今までの経験上では考えにくい結果であることは間違いないです。しかし、ここの解明はされるべきで簡単な結論に落ち着くのは腑に落ちないなと思います。

この内容書き出せばどれだけでも話せてしまいます。だんだんまとまりのない内容になってきてしまったのでこの辺りにしておきます。